vol.36 大塚駅前エリアの今昔

TODEN PEDIA

ちょっとキザで王子キャラの「都電先生」が、東京さくらトラム(都電荒川線)に隠された秘密や知られざる魅力をレクチャー

教えて、都電先生!

Profile都電先生

都電先生

都電をこよなく愛し、日々街をそぞろ歩きながら悠々自適に暮らしている少し謎めいた青年。アンティークやクラシカルなものが大好きで、ちょっとキザな口調が特徴。

年齢:永遠の28歳
趣味:純喫茶巡り
好きな花:都電沿線に咲くバラ。「荒川二丁目停留場周辺」のバラが特にお気に入り。

大塚駅前エリアの今昔

大塚駅前エリアの今昔

100年以上前から路面電車と鉄道が交わり、かつては花街としても栄えていた大塚駅前エリア。近年は駅周辺の再開発で新たな魅力が加わり、若者も集まるスポットとして注目されています。

 

再開発で新たなにぎわいスポット

東京さくらトラム(都電荒川線)とJR山手線が交差する大塚駅前は、かつてはたくさんの芸者さんがいる花街としても栄え、昔から繁華街として多くの人が集まっていたにぎやかなエリアだよ。JR大塚駅南口側のサンモール大塚商店街は、迷路のような路地に、古くからの商店や個性的な店が軒を連ねるにぎやかな商店街。北口側は再開発が進んでいて、東京さくらトラム(都電荒川線)が目の前を走る「東京大塚のれん街」は、空き家をまとめてリノベーションして生まれた新しいスポットさ。昔の横丁の雰囲気が再現されていて、若者にも人気なんだって。

細い路地が入りくみ、昔ながらの店が軒を連ねるサンモール大塚商店街

細い路地が入りくみ、昔ながらの店が軒を連ねるサンモール大塚商店街

大正時代にはターミナル駅に

大塚駅周辺は昔、江戸の食を支える農村地帯だったんだよ。明治時代には酪農が盛んで、乳牛を飼う牧場がたくさんあったんだって。のどかだった大塚に日本鉄道の大塚駅(現JR大塚駅)ができたのは、1903(明治36)年のこと。その8年後の1911(明治44)年には王子電気軌道(都電荒川線の前身)の停留場も開業して、乗換駅としてたくさんの人が行き交うようになったんだ。1913(大正2)には東京市電の停留場もでき、大塚駅の開業直後は年間4万4000人ほどだった乗降客が、1917(大正6)年には約220万人に増えたという記録も残されているよ。

大塚駅前には1971(昭和46)年まで、都電32系統(今の都電荒川線)のほかに、都電16系統も通っていたんだ。16系統は、大塚駅南口と錦糸町駅を結ぶ路線で、今は同じルートを都バス(都02系統)が走っているのさ。都電荒川線の大塚駅前停留場はJR山手線の高架下にすっぽり収まっているユニークな構造で、ほかの停留場とはひと味違った風景が見られる停留場さ。向原停留場までの軌道沿いは「大塚バラロード」と呼ばれていて、地域の方が丹精込めて育ててくれたバラの花を楽しむことができるんだ。春には車窓からサクラの名所として知られる南大塚三丁目の桜並木を眺めることもできるよ。

JR山手線の高架下に位置する、大塚駅前停留場

JR山手線の高架下に位置する、大塚駅前停留場

映える撮影スポット

滝野川一丁目停留場からほど近く、落ち着いた住宅街

滝野川一丁目停留場からほど近く、落ち着いた住宅街を心惹かれるままに歩いてみる。少し上り坂になった小道を登っていく途中、ガタゴト、ガタゴトと響く音に振り返ってみると、坂のふもとから都電が姿をのぞかせます。何気ない日常の中に溶け込む都電の親しみやすさが感じられる一瞬を切り取りました。