vol.7 鬼子母神前(きしぼじんまえ)

TODEN PEDIA

ちょっとキザで王子キャラの「都電先生」が、東京さくらトラム(都電荒川線)の停留場名や地名の由来、沿線の歴史的なスポットをレクチャー

教えて、都電先生!

Profile都電先生

都電先生

都電をこよなく愛し、日々街をそぞろ歩きながら悠々自適に暮らしている少し謎めいた青年。アンティークやクラシカルなものが大好きで、ちょっとキザな口調が特徴。

年齢:永遠の28歳
趣味:純喫茶巡り
好きな花:都電沿線に咲くバラ。「荒川二丁目停留場周辺」のバラが特にお気に入り。

鬼子母神前

鬼子母神前

安産や子育ての神様として古くから信仰を集めてきた雑司ヶ谷の鬼子母神。鬼子母神前停留場はその最寄り駅として、今も昔もお参りに訪れる人でにぎわっています。

 

雑司ヶ谷鬼子母神堂の“門前駅”

鬼子母神前停留場が開業したのは、1925(大正14)年11月。軌道が面影橋停留場まで延びる1928(昭和3)年12月までは、鬼子母神前が終点停留場だったんだ。停留場名の「鬼子母神」は、昔から安産や子育ての神様として信仰されていた雑司ヶ谷鬼子母神堂のことだよ。実は「鬼子母神」の読み方が鬼子母神堂と停留場で違うって知ってるかい? お寺は「きしもじん」、停留場は「きしぼじん」なんだよ。

都電先生

鬼子母神の「鬼」には“つの”がない?

鬼子母神は、元々母親でありながらほかの人の子どもを食べてしまい、人々に恐れ憎まれていた女性なんだって。でも、お釈迦様にいさめられて過ちを悟り、その後安産と子育ての神様として信仰されるようになったんだ。雑司ヶ谷鬼子母神堂にまつられている鬼子母神像は、鬼の姿ではなく菩薩形の美しい姿をしているよ。だから鬼子母神堂では「鬼」という漢字から角のように見える1画目の点を取った文字を使っているんだ。

鬼子母神の「鬼」には“つの”がない?

広く信仰を集めてにぎわった鬼子母神堂

雑司ヶ谷の鬼子母神は、安土桃山時代には今の場所付近にあったと言われているんだ。江戸時代には、武士から庶民までたくさんの人がお参りに訪れるようになり、門前の料理屋や茶店もとてもにぎわっていたんだって。その様子は、歌川広重の錦絵や江戸名所図会にも残されているよ。今の本堂は江戸時代の寛文4(1664)年に建てられた歴史ある建物で、2016年に国の重要文化財に指定されているよ。

広く信仰を集めてにぎわった鬼子母神堂

出典:国立国会図書館ウェブサイト

スポット情報

雑司ヶ谷鬼子母神堂

境内には鬼子母尊神をまつる本殿、妙見堂、法不動堂、大黒堂、武芳稲荷などがあり、樹齢700年といわれる大イチョウは都の天然記念物に指定されています。鬼子母神前停留場から続くケヤキ並木の参道も見どころです。

住所:東京都豊島区雑司が谷3-15-20
電話番号:03-3982-8347
拝観時間:9:00~17:00(大黒堂は10:30~16:30)。堂内の見学は平日のみ、要予約
アクセス:鬼子母神前停留場から徒歩5分

雑司ヶ谷鬼子母神堂

千登世橋

1932(昭和7)年に完成した明治通りと目白通りが立体交差する橋。土木史的価値の高い橋として「東京都の著名橋」に指定されています。鬼子母神前停留場と学習院下停留場の間にあり、都電の撮影スポットとしても人気です。

住所:東京都豊島区目白1〜雑司が谷3
アクセス:鬼子母神前停留場から徒歩5分

千登世橋

 

(注釈)雑司ヶ谷鬼子母神堂の「鬼」の字は一角目の「ノ」がない(角がない)字を使います。