vol.5 面影橋

TODEN PEDIA

ちょっとキザで王子キャラの「都電先生」が、東京さくらトラム(都電荒川線)の停留場名や地名の由来、沿線の歴史的なスポットをレクチャー

教えて、都電先生!

Profile都電先生

都電先生

都電をこよなく愛し、日々街をそぞろ歩きながら悠々自適に暮らしている少し謎めいた青年。アンティークやクラシカルなものが大好きで、ちょっとキザな口調が特徴。

年齢:永遠の28歳
趣味:純喫茶巡り
好きな花:都電沿線に咲くバラ。「荒川二丁目停留場周辺」のバラが特にお気に入り。

面影橋

庚申塚

どこかロマンティックな名前が印象的な面影橋停留場。停留場と目と鼻の先にある面影橋や停留場周辺の一帯には、古くからのさまざまな伝承が残されています。

 

錦絵にも描かれた名所・面影橋

面影橋停留場は1928(昭和3)年12月に開業した停留場だよ。「面影橋」は今も停留場の目の前にある神田川にかけられた橋の名前さ。面影橋は、かつて鎌倉街道だったと考えられている道筋にあって、江戸時代の承応年間(1652~1655年)にかけられたとされているんだ。江戸やその近郊の名所をまとめた江戸名所図会や歌川広重(初代)の錦絵にも描かれているから、きっと江戸ではよく知られた橋だったんだね。

錦絵にも描かれた名所・面影橋

出典:国立国会図書館「錦絵でたのしむ江戸の名所」

橋に残る美しい姫の悲しい物語

「面影橋」という名前の由来にはたくさんの説があるんだけど、橋の近くに住んでいた武士・和田靱負(ゆきえ)の娘の於戸姫(おとひめ)が、自分の身に起こったたくさんの不幸を嘆いて川に身を投げた時に残した和歌から名付けられたという説がよく知られているよ。ほかにも、在原業平が川の水面に自分の姿を映したことに由来するという説や、昔近くにあった刑場に罪人を送った縁者がこの橋で別れを惜しんだからとする説もあるんだ。

橋に残る美しい姫の悲しい物語

ミステリアスな「面影橋」と「姿見の橋」

面影橋は「姿見の橋」とも呼ばれていたといわれているんだけど、二つは別々の橋だという説もあるよ。江戸名所図会には“姿見の橋”と“俤(おもかげ)のはし”の二つが書き込まれているし、広重の錦絵のタイトルにも「高田姿見のはし俤の橋砂利場」と両方の橋の名前が出てくるんだ。いろんな謎があるミステリアスな橋でもあるんだね。

ミステリアスな「面影橋」と「姿見の橋」

出典:国立国会図書館ウェブサイト

スポット情報

高田總鎭守氷川神社

平安時代初期の貞観年間(859~877年)に創建され、名所江戸百景の「高田姿見のはし俤の橋砂利場」や江戸名所図会にも描かれている神社です。境内の石造鳥居、石造狛犬、石灯籠、玉垣は豊島区登録文化財に指定されています。

住所:東京都豊島区高田2-2-18
電話番号:03-3971-8649
社務所受付:午前10時~正午/午後1時30分~午後4時30分
アクセス:面影橋停留場から徒歩3分

高田總鎭守氷川神社

「山吹の里」の碑

「七重八重 花は咲けども 山吹の みのひとつだに 無きぞ悲しき」という歌でも知られる太田道灌の「山吹の里」の故事にちなんだ石碑。山吹の里の場所には諸説ありますが、面影橋周辺もその一つです。

住所:東京都豊島区高田1-18-1
アクセス:面影橋停留場から徒歩1分

「山吹の里」の碑