vol.4 王子駅前

TODEN PEDIA

ちょっとキザで王子キャラの「都電先生」が、東京さくらトラム(都電荒川線)の停留場名や地名の由来、沿線の歴史的なスポットをレクチャー

教えて、都電先生!

Profile都電先生

都電先生

都電をこよなく愛し、日々街をそぞろ歩きながら悠々自適に暮らしている少し謎めいた青年。アンティークやクラシカルなものが大好きで、ちょっとキザな口調が特徴。

年齢:永遠の28歳
趣味:純喫茶巡り
好きな花:都電沿線に咲くバラ。「荒川二丁目停留場周辺」のバラが特にお気に入り。

王子駅前

王子駅前

東京さくらトラム(都電荒川線)で1日当たりの乗降客数がもっとも多い王子駅前停留場。古くは江戸郊外の行楽地としてにぎわい、現在は都電、都バスなどが数多く行き交う交通の要衝となっています。

 

王子は今も昔も都電の要

都電の前身である王子電気軌道(王電)は名前の通り、王子を中心にした路面電車を作るために設立された会社さ。王子や飛鳥山は江戸時代から大人気の行楽スポット。きっと観光客がたくさん乗ってくれると期待したんだね。昭和初期には赤羽~王子を結ぶ路線もできて、当時の路線図を見ると真ん中の王子からYの字に路線が延びていたことが分かるでしょ? 今もたくさんの人が乗り降りする王子駅前停留場は、王電時代から路線の要だったんだ。

王子は今も昔も都電の要
国立国会図書館所蔵

古くからの地名がそのまま停留場名に

王子駅前停留場は、1915(大正4)年4月、王電がお隣の飛鳥山停留場から路線を延長して開業したんだ。最初の停留場名は「王子」で、その後は「王電王子」などに何度か名前が変わったんだけど、1951(昭和26)年からは今の「王子駅前」で定着しているよ。王子は昔からの地名で、鎌倉時代後期にこの土地を治めていた豊島氏が、熊野権現(和歌山県)から王子大神を勧請(かんじょう)して王子神社を作り、地名がそれまでの「岸村」から「王子村」に変わったといわれているんだ。
※勧請…神仏の分身・分霊をほかの地に移してまつること

都電先生

線路をはさんで2つあった王子停留場

昭和の初めまで、王子停留場は省線電車(今のJR)の線路を挟んで2つに分かれていたんだ。先にできたのが1915年に開業した線路の南側の停留場で、その10年後に北側にも停留場ができたんだよ。当時、王子より先に行きたいお客さんは2つの停留場の間を歩いて移動していたんだって。省線電車の線路が高架化された後、1928(昭和3)年にようやく大塚から三ノ輪橋まで軌道がつながり、王子停留場も一つになったんだ。

線路をはさんで2つあった王子停留場

スポット情報

王子神社

1322(元亨2)年に創建され、王子の地名の由来にもなっている神社です。江戸時代には代々将軍家の崇敬を受け、王子権現として江戸の名所の一つにもなりました。樹齢600年ともいわれる大イチョウは東京都の天然文化財に指定されています。

住所:東京都北区王子本町1-1-12
電話番号:03-3907-7808
アクセス:王子駅前停留場から徒歩5分

王子神社

北区立音無親水公園

北区周辺では「音無川」と呼ばれた石神井川の旧流路に整備された公園です。春はサクラ、夏はせせらぎで水遊び、秋には紅葉など、季節ごとの楽しみ方ができ、日本の都市公園100選にも選ばれています。

住所:東京都北区王子本町1
電話:03-5980-9210(飛鳥山公園管理事務所)
アクセス:王子駅前停留場から徒歩2分

北区立音無親水公園